当時、私は特定保健指導の担当をしていました。
タイトルにある「もう呼ばんといて」この言葉は特定保健指導の対象者から言われた言葉です。
大変残念な言葉で、正直なところ、ショックを受けました。
それなら!対象者が興味を持って参加し社員のモチベーションを上げるにはどうすればいいか、考えました。
「もう呼ばんといて」の言葉から、対象者と共に保健指導側もモチベーションが下がりました。しかし、保健指導の参加率は落とせません。
この悪循環をたちきるべく、まず、あらゆる機関分野から取組みや効果について情報収集しました。
実施可能かどうかスタッフ内で検討試行議論を繰り返し、計画や準備に時間をかけました。
対象者がちょっとやってみようと思えるように、会場や対象に合わせ複数パターンを計画しました。
Aパターン:内臓脂肪計で参加者の内臓脂肪測定、時間栄養学の食事のとり方クイズを出題しグループで回答、改善社員の紹介
Bパターン:運動指導士による日常生活で簡単にできる姿勢や運動を楽しく体験、改善社員の紹介
Cパターン:若年のみ参加、体力測定・個人ワーク・グループディスカッション実施
テーマを「パフォーマンスが向上する体へ」とし、健診結果が悪いので痩せましょうというマイナス表現ではなく、改善するメリットを強調
いずれも実際に改善した身近な社員の事例の紹介をしました。
改善社員紹介は好評で、参考に実践している人もいました。身近で親近感があり、継続するコツなど社員だけでなく保健師も参考になりました。
改善社員自身からはいきいきとした表情で現状報告があります。紹介されることで継続への強化となると実感しました。
実際の参加者の反応は
クイズをグループで考え、盛り上がりました。
経験豊富な運動指導士の講話は、楽しい雰囲気、笑顔が見られました。保健師自身も学ぶことができました。
若年のみ参加Cパターンは同期と比較し盛り上がっていました。
1か月後の手紙を送付し感想を伺いました。
20年朝食をとっていなかった社員が、朝食が習慣化しつつあるなどのご意見が寄せられました。日常生活でできる運動を試した社員は9割以上おり、すぐに活かせる内容だったと考えられました。体幹が安定しゴルフの飛距離が伸びたと方もおりました。
若年のみ参加Cパターンは同年代で保健指導だったので参加しやすかった、次回の改善社員として紹介されたいなどの声が寄せられました。これまで反応のなかった社員から改善を始めているとも伺っています。
この取り組みからスタッフ間で準備に時間をかけ議論することが改めて大切と認識してました。会場や対象に合わせプログラムの工夫が社員の肯定的反応と感じられました。
社員のモチベーションを上げるには、まず自分たちが楽しくやりがいのある計画実施が社員にも伝わると感じます。
私の知りうる限り、その年度は「もう呼ばんといて」とは言われませんでした。
代表 野口 有美子 (のぐち ゆみこ)
事業内容 企業等に定期健康診断後の保健指導、健康テーマの研修、健康経営の相談、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、産業医や主治医・地域との連携等、健康管理のサービスの提供。働く人々の疾病予防、健康の維持増進。
保有資格 保健師 看護師 養護教諭一種 第一種衛生管理者免許 健康経営エキスパートアドバイザー(認定番号 EX23002053) 両立支援コーディネーター 認定フェムテックエキスパート
職歴
2002年 公益財団法人石川県成人病予防センターの保健師として、4年間石川県内の自治体や企業の健康診断、保健指導に従事。
2006年 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)金沢健康増進センターの産業保健師として17年間、社員約3,000人を支援。各種健康診断、保健指導、健康相談、メンタルへルス支援、健康増進企画運営、健康経営など新入社員からシニア社員まで幅広く社員の健康管理を経験。
2023年4月より石川産業保健総合支援センターの登録保健師として50人未満の中小企業の健康管理を支援中。
2024年4月より 石川県立看護大学 臨時助手
2024年4月より 金城大学公衆衛生看護学専攻科 非常勤講師
所属団体 日本産業衛生学会 産業保健看護部会 日本看護協会 石川県看護協会 石川県中小企業家同友会 日本開業保健師協会 NPO法人禁煙ねット石川 産業保健オンラインコミュニティ(通称COEDOH) 女性起業家交流会 in HOKURIKU(JKK)
学会発表
第87回日本産業衛生学会「イコちゃんカップ」ウォークラリーの 拡大定着に向けた取り組み
2014年日本産業衛生学会の生涯教育ガイドラインGood Practice事例に記載「イコちゃんカップ」ウォークラリーの拡大定着に向けた取り組み
第92回日本産業衛生学会 35歳時保健指導前後の定期健康診断結果の変化からみた若年支援の効果について
第94回日本産業衛生学会 A事業所の喫煙率低下及び受動喫煙防止意識向上のための喫煙対策5年間の取組み