Y.Hさん 30代 男性 管理職
部下Aさん 20代 男性 会社員
管理職であるY.Hさんから「部下Aさんが『発達障害です。』と申告してきました。私はどうしたら良いでしょう?」とご相談がありました。
部下、上司、保健師で確認
部下Aさんの了解を得て、管理職Y.Hさん、保健師と3人で話をしました。
部下Aさんは子供のころより、「何か他の人と違うと違和感を感じていた、心療内科に行ってみたら発達障害と診断された、業務について相談したい、主治医が、会社に産業医や保健師がいれば、一緒に病院にきてくださいと言っている。」という内容を話されました。
受診に同行し、主治医から説明、産業医へ報告
主治医のご意見をきくために、部下Aさんとともに病院に同行しました。
主治医からは、発達障害について説明がありました。どの人にも得意不得意作業や分野がある。極端にデコボコの場合や社会生活に支障のある場合にサポートする。
部下Aさんの現状について、飲んでいる薬は現在の業務に差し支えない、口頭での指示は理解しづらく、端的な文章や図での説明が良い、定期的に上司との面談をしていく方が良い、とのことでした。
管理職であるY.Hさんから部下Aさんの相談があったこと、主治医のご意見を産業医に報告しました。
部下、上司、保健師で今後の打合せ
主治医のご意見、産業医の指示をもって、部下Aさん、管理職Y.Hさん、保健師と3人で今後についての打合せをし、下記事項のすり合わせをしました。
- 発達障害の開示について:部下Aさんは同じグループには開示したい。
- 業務組み合わせの配慮:相性の悪い先輩がいるので2人業務は一緒にならないようにする。(管理職からみて理解を得るのは難しい性格の先輩であるため)
- 1週間に1回の打合せ:管理職と時間をとって体調や業務について打合せする。
- 保健師と定期的面談:当面1か月に1回保健師が体調を確認し産業医に報告する。
その後、管理職Y.Hさんはグループ内の理解を得られるよう、マンガを使い説明しました。保健師は部下Aさんの面談を行うとともに管理職Y.Hさんから客観的情報を確認し、都度相談しました。
部下Aさんは、上司や同僚、関係者との連携があり、周囲のサポートを得ながら、勤務しています。
続編の「部下が発達障害?どうする? 異動時の留意点」編はこちらから→部下が発達障害?どうする? 異動時の留意点 | 野口保健師事務所 (noguchip.com)
発達障害をもつ方のサポートから
「発達障害」ときくと、それだけで戸惑ってしまったり、職場として何をして良いのかと管理職Y.Hさんのように困惑してしまいます。
幸運にも部下Aさんの主治医は、労働者のこころの健康に深く関りがあり、産業医や産業保健師との連携もスムーズでした。
この事例のように、ひとりで抱えこまず、個人情報に留意し関係者に相談することが重要です。特に、こころの健康は関係者の連携したサポートが鍵となります。
参考資料 職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~000560416.pdf (mhlw.go.jp)
企業内に産業医や保健師がいない場合の無料相談窓口
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石川県の石川中央地域産業保健センターの登録保健師として野口保健師事務所 代表 野口 有美子は所属しております。
石川中央地域産業保健センター « (med.or.jp)
代表 野口 有美子 (のぐち ゆみこ)
事業内容 企業等に定期健康診断後の保健指導、健康テーマの研修、健康経営の相談、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、産業医や主治医・地域との連携等、健康管理のサービスの提供。働く人々の疾病予防、健康の維持増進。
保有資格 保健師 看護師 養護教諭一種 第一種衛生管理者免許 健康経営エキスパートアドバイザー(認定番号 EX23002053) 両立支援コーディネーター 認定フェムテックエキスパート
職歴
2002年 公益財団法人石川県成人病予防センターの保健師として、4年間石川県内の自治体や企業の健康診断、保健指導に従事。
2006年 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)金沢健康増進センターの産業保健師として17年間、社員約3,000人を支援。各種健康診断、保健指導、健康相談、メンタルへルス支援、健康増進企画運営、健康経営など新入社員からシニア社員まで幅広く社員の健康管理を経験。
2023年4月より石川産業保健総合支援センターの登録保健師として50人未満の中小企業の健康管理を支援中。
2024年4月より 石川県立看護大学 臨時助手
2024年4月より 金城大学公衆衛生看護学専攻科 非常勤講師
所属団体 日本産業衛生学会 産業保健看護部会 日本看護協会 石川県看護協会 石川県中小企業家同友会 日本開業保健師協会 NPO法人禁煙ねット石川 産業保健オンラインコミュニティ(通称COEDOH) 女性起業家交流会 in HOKURIKU(JKK)
学会発表
第87回日本産業衛生学会「イコちゃんカップ」ウォークラリーの 拡大定着に向けた取り組み
2014年日本産業衛生学会の生涯教育ガイドラインGood Practice事例に記載「イコちゃんカップ」ウォークラリーの拡大定着に向けた取り組み
第92回日本産業衛生学会 35歳時保健指導前後の定期健康診断結果の変化からみた若年支援の効果について
第94回日本産業衛生学会 A事業所の喫煙率低下及び受動喫煙防止意識向上のための喫煙対策5年間の取組み