部下 F.Mさん 20代 男性 会社員
上司 Y.Hさん 50代 男性 管理職
上司Y.Hさんより最近異動してきた部下F.Mさんについて相談したいとのこと。
気になる様子は下記です
○ 業務の進捗を報告しない、聞くとわからないところから進んでいない
○ 職場で同僚と会話をあまりしていない
○ 異動してきたときより、顔色が悪い、徐々に元気がなくなっている
○ ミスが多いので直属の上司から注意されている
面談し体調を確認する
日程調整し、部下F.Mさんとお会いしました。
表情に活力がなく、入室されました。
主に下記のことがわかりました。
- 職場でうまくいっていないと思う。
- 2時ごろまで眠れない。2か月くらい続いている。寝る前パソコンをすることもある。
- 食欲はもともと食が細かったが、日によって1食食べるかどうか。体重は減っているかわからない。
眠れないことが2か月以上続いていることから、受診をすすめました。
しかし部下F.Mさんは「受診するほどではないし、こころの病院に行くことは乗り気でない」ということでした。
「寝る前のパソコンをしない」、「朝食を何でもよいので食べること」をすすめ、睡眠状況の変化を見てほしいと伝えました。
1か月後に体調を確認すると、悪化していた
部下F.Mさんの了解のもと、上司Y.Hさんと相談し、1か月後に再度面談を設定しました。
初回の面談から約1か月後の体調は下記でした。
- 仕事から帰ったら何もできない。
- 睡眠状況は変わらない。朝食は食べていない。
- 仕事でわからないことがあっても、きいていいかわからない。
- 直属の上司に注意され、「窓から飛び降りたらどうなる?」と思った。
- うまくいかない日があり、仕事後にカバンと携帯電話を地面に投げつけ、携帯電話が壊れた。
前回より体調が悪化していること、受診に抵抗感があることはわかるが、受診して体調を整えることが最優先と。
部下F.Mさんが了承すれば、保健師が受診に同行できると伝えました。
上司Y.Hさんと所属長は体調が心配なため、受診してほしいとのことでした。
受診に同行する
部下F.Mさんは保健師同行の受診を希望され、自分で病院を選び、電話予約しました。
当日一緒に診察室に入り、産業保健師で部下F.Mさんのサポートをしていることを医師に伝えました。
診察を受け、治療開始となりました。
上司からの相談で受診につなげた方のサポートから
部下の様子がおかしい、こころの病気かもしれない、職場としてどうすれば良いのかと管理職Y.Hさんのように困惑してしまいます。
この事例のように、ひとりで抱えこまず、個人情報に留意し関係者に相談することが重要です。特に、こころの健康は関係者の連携したサポートが鍵となります。
参考資料 職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~000560416.pdf (mhlw.go.jp)
企業内に産業医や保健師がいない場合の無料相談窓口
全国の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)はこちらからどうぞ
産業保健総合支援センター(さんぽセンター)| JOHAS(労働者健康安全機構)
石川県の石川中央地域産業保健センターの登録保健師として野口保健師事務所 代表 野口 有美子は所属しております。
石川中央地域産業保健センター « (med.or.jp)
代表 野口 有美子 (のぐち ゆみこ)
事業内容 企業等に定期健康診断後の保健指導、健康テーマの研修、健康経営の相談、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、産業医や主治医・地域との連携等、健康管理のサービスの提供。働く人々の疾病予防、健康の維持増進。
保有資格 保健師 看護師 養護教諭一種 第一種衛生管理者免許 健康経営エキスパートアドバイザー(認定番号 EX23002053) 両立支援コーディネーター 認定フェムテックエキスパート
職歴
2002年 公益財団法人石川県成人病予防センターの保健師として、4年間石川県内の自治体や企業の健康診断、保健指導に従事。
2006年 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)金沢健康増進センターの産業保健師として17年間、社員約3,000人を支援。各種健康診断、保健指導、健康相談、メンタルへルス支援、健康増進企画運営、健康経営など新入社員からシニア社員まで幅広く社員の健康管理を経験。
2023年4月より石川産業保健総合支援センターの登録保健師として50人未満の中小企業の健康管理を支援中。
2024年4月より 石川県立看護大学 臨時助手
2024年4月より 金城大学公衆衛生看護学専攻科 非常勤講師
所属団体 日本産業衛生学会 産業保健看護部会 日本看護協会 石川県看護協会 石川県中小企業家同友会 日本開業保健師協会 NPO法人禁煙ねット石川 産業保健オンラインコミュニティ(通称COEDOH) 女性起業家交流会 in HOKURIKU(JKK)
学会発表
第87回日本産業衛生学会「イコちゃんカップ」ウォークラリーの 拡大定着に向けた取り組み
2014年日本産業衛生学会の生涯教育ガイドラインGood Practice事例に記載「イコちゃんカップ」ウォークラリーの拡大定着に向けた取り組み
第92回日本産業衛生学会 35歳時保健指導前後の定期健康診断結果の変化からみた若年支援の効果について
第94回日本産業衛生学会 A事業所の喫煙率低下及び受動喫煙防止意識向上のための喫煙対策5年間の取組み