特定保健指導から思う新入社員からの生活習慣病予防

T.Dさん 40代 男性 会社員

企業の担当者から健康診断の結果から異常の有無にかかわらず、全員に保健指導をしてほしいと依頼がありました。

T.Dさんは来室された時から、不機嫌そうでした。

健康診断の結果は、ほとんどが基準値を上回り、はっきり言うと悪い結果です。

少しでも改善へのモチベーションがあがるように、T.Dさんの気になっていることや工夫点を探すため、生活状況を伺いました。

途中でT.Dさんは「時間がないので結論だけ言ってください」と急にいらだち始めました。

今日は信頼関係を築くのは難しいと感じました。T.Dさんに1点伝えました。

  • 年々増え続けている体重を「減らす」のではなく「増えない」こと

担当者からは、特定保健指導を何度も受けていて保健指導に対し良い印象がないと伺いました。

特定保健指導をご存じでしょうか?

一言で言うとメタボの保健指導です。

40歳以上対象の特定保健指導を経験者もおられるのではないでしょうか?

特定保健指導は6か月後の体重や腹囲の目標を決め、その進捗状況をメールや電話で報告します。

特定保健指導の実施率によって保険額の可算減算がされるというもの。

国は超高齢化社会の医療費削減のため、脳や心臓の病気のリスクとなる生活習慣病の人を減らしたいことから、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、2008年より始まりました。

特定保健指導対象者の気持ち

特定保健指導を受ける側にとっては、

  • ちょっとお腹が出ているだけ、中年になればそうなる
  • 健康診断で毎回お腹周り測られて嫌
  • 健康診断の結果はちょっと基準値よりも高いだけ
  • 毎年毎年目標決めさせられて、連絡して、保健指導が苦痛

など実際に声が寄せられます。

特定保健指導実施側の気持ち

保健指導する側も毎年同じ対象者で、そう簡単に痩せられるわけがない、上記のようなご意見もわかる、などモチベーションがあがりません。

法律で決まっている以上実施しなければなりません。

40歳になる前に予防できないか?

生活習慣病は昨日今日なるものではなく名前の通り生活習慣が重なって出来上がるものです。

対象の40歳になって戸惑うのではなく、40歳以前から気をつければ対象が減る可能性があります。

では何歳から気をつければよいでしょうか?

新入社員からの生活習慣

学校では保健室の先生がおり、健康診断の結果要検査の人には病院に行くまで通知を出します。困ったことがあれば相談できます。

社会人になったらどうでしょうか?

大企業であれば常勤の産業医や保健師がおり健康管理をサポートしていますが、それは約1割の企業です。

9割の企業で働く人々は健康管理のサポートには企業によって大きな差があります。

新入社員当時は健康に関心が薄い

新入社員は若いので、暴飲暴食や生活習慣が乱れていても、心身に影響が出ることは少なく、改善しようとも思いません。

それが積み重なり、早い人では20代前半で生活習慣病予備群となっています。

40歳になり特定保健指導の対象者に

40歳から改善しようと思っても、20年の生活習慣はすぐには変えられません。

さらには代謝も落ちてくるので改善にはかなりの努力が必要となります。

毎年特定保健指導を受けても思うように改善できず、モチベーションも低下していきます。

保健医療に対しても悪いイメージがついてしまいかねません。

新入社員からの生活習慣病予防の意義は大きい

もし、新入社員の研修から健康について情報提供、相談できる環境があれば、都度少しの努力で改善できます。

良い生活習慣が身につき、年を重ねても悪化しない、適切な医療を早期に受けることができます。

国の目的である医療費も最小限で済むと考えられます。

新入社員だからこそ生活習慣病予防を始める意義は大きいです。