体調不良?それとも心の疲れ? “大丈夫です”と言う新入社員のサポート

部下 C.Mさん 20代 女性 会社員専門職 入社1年

上司 M.Dさん 40代 男性 管理職

上司M.Dさんより部下C.Mさんの健康相談をしてほしいと依頼があった。

新入社員の様子について相談の依頼

新入社員の体調が悪そうなので、本人に体調をきくと「大丈夫です。」というのでどうしたら良いか。

最初に付与された有給休暇を早退で使い切ってしまい、次に休めば欠勤扱いになる。

症状は、頭痛、腹痛、眠気があるときいた。実際に仕事中居眠りしていることもある。

病院の薬を飲んでいるのを見かけたが、きけていない。

仕事ぶりは、他の新入社員と比べると、覚えや慣れはゆっくりである。新しいことには不安があり緊張感が伝わってくる。

おとなしい印象で自分から話をするタイプではなく、話しやすい先輩にのみ、雑談している。

大卒後一旦就職したが、退職し、再就職で入社した。理由はわからない。

入社時から一人暮らしになった。

上司だと言いにくいこともあるだろうから、保健師に体調を確認してほしい。上司が心配していることは伏せて、健康相談としてききとってほしい。

保健師が健康相談として体調を確認する

部下 C.Mさんに、入社してからの体調変化や環境に慣れてきたか、などをきいた。

話をきく前に、ここでの話の内容は、個人情報を守り、本人の了承した内容のみを会社に伝えると約束した。

こころの病気で治療しているが、会社には言わないでほしい

数年前より、こころの病院に通っており、眠りにつきやすい薬を飲んでいる。

これは会社に言わないでほしい。やっぱり偏見があると思うから。就職にも不利だと思って言っていない。

5月くらいから、薬で眠れるけど、夜中2時ごろ目が覚めて、それから眠れないことがある。

主治医の先生には話していて、週に1回通院し、薬の調整をしてもらっている。

日中眠い。カフェイン取っても、うたた寝してしまうことがある。先輩に起こされる。

他にも、腹痛・下痢・頭痛があります。

仕事や職場について

少しずつ慣れてきたと思う。でも自分が足りていないと焦りがある。

わからないことはききやすく、職場の雰囲気は良いと思う。

保健師が職場に伝えた方が良いと本人を説得

部下 C.Mさんは、こころの病気を治療中であることを会社に開示したくないと希望がありました。

症状が安定し、治療継続できている場合は、内容を伏せても良いかもしれません。しかし、本人も体調不良を感じ、職場も体調を心配しています。

今後の本人や上司、周囲の同僚への影響を考えると、一部の人でも良いので開示した方が良いと伝えました。

部下 C.Mさんは、上司 M.Dさんにのみ情報開示可とされました。

保健師から上司に報告するが、数か月に1回上司と部下の面談でも、自分から報告するように伝えました。

上司 M.Dさんに面談内容を報告

採用の時から、精神的に弱いだろうと何となく思っていた。

女性ということもあり、男性上司から体調についてつっこみにくい。

体調に波があるので、都度様子を見ながら仕事にも慣れていってもらいたい。

追加情報で、遅刻したことが数回ある、居眠りを近くの席の人が起こしている、仕事中でも構わず雑談を長く続けることなどの対応に困っているとのこと。

今後のサポート

次回は、1か月後に保健師が体調を確認する。

本人からの相談希望や上司や周囲から見て、気になる症状や行動があれば、都度相談してもらうこととなった。

健康管理と仕事のマネジメントの境界線

遅刻や居眠り、私語が多いことに関しては、上司として注意すべきところです。

もし、仕事ができないくらいの体調不良であれば、仕事ができる体調になるよう治療することや、場合によって休職という選択肢も必要と思います。

職場は社員の健康管理のサポートをしますし、社員も自分自身で安定した体調で仕事に臨む、という双方の努力があってこそ成り立つと感じています。

新入社員のサポートに困った上司の相談に対応して

新入社員の体調が気になる、職場としてどうすれば良いのかと上司 M.Dさんのように困惑してしまいます。

この事例のように、ひとりで抱えこまず、個人情報に留意し関係者に相談することが重要です。関係者の連携したサポートが鍵となります。

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石川県の石川中央地域産業保健センターの登録保健師として野口保健師事務所 代表 野口 有美子は所属しております。
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