部下 E.Mさん 40代 男性 会社員 製造業
上司 M.Fさん 50代 女性 管理職
部下 E.Mさんが休職から復職したが、会社として復職支援について考えたいとのことで上司 M.Fさんから相談があった。
復職支援について管理職から話をきく
復職支援を相談をしたかった部下 E.Mさんは、昨日から体調が悪く、早退した。
今日は休んでいる。
うつ病の既往歴があった
部下 E.Mさんは、前職で人間関係からうつ病になり退職した。療養し病気が良くなったため、仕事を探していた時に、親戚のすすめでこの会社に就職した。
仕事とプライベートも重なり体調不良に 再発か
再就職5年間は体調を崩すこともなく、仕事をしていた。
3か月前に体調が悪く1か月休んだ。提出した診断書にはうつ病で薬を飲んでいると書いてあった。
仕事のこともあるが、プライベートでも気がかりことがあり、重なっていたときいた。
1か月休職し、復帰した
復帰してからは仕事の負荷を減らしていた。本人に体調をきいても問題ないということだった。
復帰した後の2か月は休むこともなかった。
復帰して2か月で再び体調不良
昨日から休み始め、また長く休むのかもしれない。
急に休まれると現場が困る。責任ある内容を任せるのは不安がある。
本当は新しい仕事も任せたいと思っていた。このままでは周りの影響もあるし、軽作業しか任せられない。
子どもは4人いて、一番下は小学生だときいている。生活費や教育費もいると思う。
いいのか悪いのかわからないが、社員同士の交流が少ない。体調が悪いとか、以前は病気だったなどは同僚は知らない。
保健師が困りごとを整理し、サポートを提案する
上司 M.Fさんは、部下 E.Mさんの体調も心配ですが、体調が安定しなければ、今後の仕事を任せることが難しいと思っています。
部下 E.Mさんからお話は伺ってはいませんが、生活のこともあり仕事をしなければならないと焦りがあるかもしれません。
できること➀ 主治医の意見をきく
3か月前に休職→1か月休職し復職した際に、働ける体調に戻っていたのか気になります。
焦りから体調が十分回復していないにも関わらず復職する場合があります。
今回復職される場合には、主治医の意見をきくことも大切です。
本人の了承が得られたら、診察時に同行し、会社として復職のサポートをしたいことを伝えます。
復帰する準備に何が必要か、仕事の負荷のかけ方や業務指示の仕方はどうしたら良いかなどをききます。書面でもやり取りができます。
できること➁ 保健師が本人と面談し、管理者と連携する
会社とは利害関係のない保健師が本人と面談することで、体調や思いが言い出しやすくなります。
管理者、本人、場合によっては主治医・産業医とのコーディネートができるので客観的にみれます。連携することで一人で抱え込んで管理者自身がつらくなることも防ぎます。
医療職であるので秘密は守られますので安心してお任せください。
その後 部下 E.Mさんの体調
1週間休んで、病院での診断を受けたところ、仕事ができる状態ではなく1ケ月の休職となりました。
休職の更新前に、面談できるようであれば、会社で面談をする予定です。
今後の働き方は、正社員の仕事をしてもらうことは難しく、もし本人の意欲があれば、正社員以外になりそうです。
直属の上司は、体調が不安定ならば、治療に専念するため退職してはどうかと意見もありました。しかし昨今の人手不足もあり、正社員以外での対応を考えています。
復職できるとなった時に、体調をきいてほしいので保健師に連絡するとのことでした。
社員の復職支援に困った相談に対応して
社員がこころの病気で休職している、頻繁に起こることではないので、職場としてどうすれば良いのかと上司 M.Dさんのように困惑してしまいます。
この事例のように、ひとりで抱えこまず、個人情報に留意し関係者に相談することが重要です。関係者の連携したサポートが鍵となります。
企業内に産業医や保健師がいない場合の無料相談窓口
全国の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)はこちらからどうぞ
産業保健総合支援センター(さんぽセンター)| JOHAS(労働者健康安全機構)
石川県の石川中央地域産業保健センターの登録保健師として野口保健師事務所 代表 野口 有美子は所属しております。
石川中央地域産業保健センター|一般社団法人 白山ののいち医師会

代表 野口 有美子 (のぐち ゆみこ)
事業内容 企業等に定期健康診断後の保健指導、健康テーマの研修、健康経営の相談、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援、産業医や主治医・地域との連携等、健康管理のサービスの提供。働く人々の疾病予防、健康の維持増進。
保有資格 保健師 看護師 養護教諭一種 第一種衛生管理者免許 健康経営エキスパートアドバイザー(認定番号 EX23002053) メンタルヘルス対策・両立支援促進員 認定フェムテックエキスパート
職歴
2002年 公益財団法人石川県成人病予防センターの保健師として、4年間石川県内の自治体や企業の健康診断、保健指導に従事。
2006年 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)金沢健康増進センターの産業保健師として17年間、社員約3,000人を支援。
各種健康診断、保健指導、健康相談、メンタルへルス支援、健康増進企画運営、健康経営など新入社員からシニア社員まで幅広く社員の健康管理を経験。
2023年4月より 石川産業保健総合支援センターの登録保健師として50人未満の中小企業の健康管理を支援中。
2024年4~8月 石川県立看護大学 臨時助手
2024年4月より 金城大学公衆衛生看護学専攻科 産業保健活動論 非常勤講師
所属団体
日本産業衛生学会 産業保健看護部会 日本看護協会 石川県看護協会 石川県中小企業家同友会 金沢市倫理法人会 日本開業保健師協会 NPO法人禁煙ねット石川 産業保健オンラインコミュニティ(通称COEDOH) NPO法人子育て支援 はぐはぐそのままでいいよ 女性起業家交流会 in HOKURIKU(JKK)
学会発表
第87回日本産業衛生学会「イコちゃんカップ」ウォークラリーの 拡大定着に向けた取り組み
2014年日本産業衛生学会の生涯教育ガイドラインGood Practice事例に記載「イコちゃんカップ」ウォークラリーの拡大定着に向けた取り組み
第92回日本産業衛生学会 35歳時保健指導前後の定期健康診断結果の変化からみた若年支援の効果について
第94回日本産業衛生学会 A事業所の喫煙率低下及び受動喫煙防止意識向上のための喫煙対策5年間の取組み